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Editable Region  -Except that table-桑名紗衣子 KUWANA Saeko2012年9月1日(土) - 22日(土) September 1st - 22th, 2012 オープニングレセプション:9月1日 18:00 - Opening Reseption for the artist : September 1st 18:00 -開廊日:水木金土 13:00 - 19:00 Open Wednesday -  Saturday 13:00 - 19:00 日月火祝は休廊 Closed on Sunday, Monday, Tuesday, and national holidays.
[桑名紗衣子への質問]
Q: これまでの作品についてお聞かせ下さい。

A: 私の作品は一見、ギリシャ・バロック等西洋の様式に見えますがよく見ると浮世絵や縄文、ポップアートから大衆の流行のイメージまでもが、重層的に混在しています。
私は自分の作品群を「Some floats」というひとつの言葉で位置付けてきました。それは、縦横無尽の書き換え可能な文脈達の内部で、実際の経験とは関係無しに、見たことのあるもの、聞いたことのあるものが増えていく、まるで擬似的な世界を、批判するでも、賛美するでも無く、表現する言葉として使用しています。
ふわふわと感じる浮遊感、それは理由無く感じている感覚などでは無く、私たちの現代では、見ること・聞くこと・経験すること、そして存在することのシステム自体が変わってきているからではないか、という考えのもと、制作をしてきました。 あなたの見ている、もしくは知っているソレは、本当にソレであるのか? といったことです。

「浮遊」「まやかし」等、多くのキーワードを使用し、視覚的情報量あるいは情報の質が物質量にとって替わるようなレトリックで美術や文化、習慣や様式を再構成しようと試みています。
Q: 今回の展示タイトル「Editable Region」についてお聞かせ下さい。

A: 今回の展示にタイトルとして使用した「Editable Region」は、テンプレートを使ってウェブ作成をする時に、制作者が初期段階で設定する領域「編集可能領域/EditRegion」からインスパイアされています。

私にとって制作で扱う「イメージ」「装飾」は、マッスのようなものです。それらの重量の無いマッスは、三次元に現存する物体の表面に重層的に重ねられ、浮き沈みしながら視覚的比重を増していきます。しかし、現在目に触れるイメージや言葉は過去に、誰かに作られた物であったり、そのオリジナルは既に消失していたりと、表面をすべり堕ちるように脆く、淡く移り変わるものです。
ですから、私は作品を成立させる際、それらを交換可能、編集可能な領域として扱ってきました。また、それらのピースが作り出す展示空間についても同じです。編集可能領域では、ある一定のルールを守れば、作者はゲームプレーヤーのように「美術館」を「自分の部屋」にだって書き換える事が出来ます。
既製品を扱い、その製品にひっぱられる事も、セラミックという素材の性質上、作家の意図とは関係無しに作品が窯変していくことも、受動的にふるまった結果として、作品を成立させる重要な要素となります。
Q: 今回の展示で新しく挑戦した事はありますか?

A: 今回の展覧会では逆説的に編集出来ない領域も設定しました。(=Except that table)
その領域とは、人間の普遍的な命題を指すのではないか、と思うのです。今まではそういった、スケールが大きく、感情的な問題を取り扱う仕事を避けてきたところがありましたが、私が普段の制作でモチーフにしている擬似的な世界でのルールとは、端的に言って、人のやさしさや生きることについて等、人間の普遍的な「思い」に収斂されるのではないか、と考えています。
その’概念’を引用し、再構成する事で、部分的にでも立ち現せる事が出来たらと考えています。
現代社会では人間は概ね視覚を拠り所として生きている。しかし、その見えているモノは、真実なのか否か。
桑名紗衣子の創作は、鑑賞者にその根源的な疑問符を投げかける。

In modern society people generally live and base its cognitive experience in the visual sense.
However, here arises a fundamental question, are all visible things true?
KUWANA Saeko’s works throws to the viewer such a deep and basic question.