Exhibitions

今回の個展タイトルは、遠い事(昔)と近い事(今)が、交錯しながら、今この瞬間が重なるようなイメージからつけました。
【いま!と言った瞬間に”いま”が去る】のが子どもの頃から不思議だった。
”いま”がいっぱい繋がりながら先頭に”いま”がいるオバケのように思えます。

昨年の個展のテーマをさらに深めようと、ランニング中の風景を見ながら、時の流れとともに足を進めつつ考えていた。
朝ランニングすると、もう一刻一秒空の色が変わるからウカウカ見てられなくて、焦ってしまう。
ちょっと今いい感じの色だったから止まって!と空に言っても止まらないから、慌ててスマホを取り出し撮ったりする。
ランニングでも子どもとどこかに行っても、しょっちゅう写真を撮って、その瞬間を収めてモチーフを探った。
また、作品を飾って、その絵を見ると、絵の時間はゆったりと流れているように見えるから面白い。
今完成した絵を眺めても、変わっていくことがないからホッとして見ていられる。
手描きでコツコツ描いたぶん時間が詰まっているような絵もあるかもしれないけれど、5秒で描いたドローイングでも、飾るとゆったりした時の流れを纏う。

父が他界した日に偶然描いていたモチーフが今回展示できる作品の睡蓮だったので、その絵を眺めると父の生の痕跡とその境目が曖昧になるようなイメージが湧く。
瞬間に過去なるものと今が交錯しつつ、遠いことも近いことも重なりながら、”いま”が形づくられていく。
そんな”時”の往来をしながら、創作を思索し、作品と向き合いました。
時間と空間が交わり重なり合ったイメージへの探求の成果をギャラリーに満たします。