Exhibitions

〈開廊日〉
11月:19日(水)・20日(木)・23日(日)・26日(水)・27日(木)・29日(土)・30日(日)
12月:3日(水)・4日(木)・5日(金)・6日(土)

11月29日(土)16:00-18:00に作家を囲んでレセプションパーティーを開催します。
どなたでもご参加いただけます。ぜひお越しくださいませ。

及川恵子 八太栄里  象徴としての自我像

今回の展示は初登場の八太栄里を迎えての2人展を構想した。 2人の作品に登場する人物が、それぞれの創作の鍵になると考え、またそれは2人の作家の自我の表出であると推察し、展覧企画のプロセスでタイトルの自画像を敢えて”自我”という言葉を適用してみた。

まずは、及川恵子の創作であるが、重厚で縦横無尽な色と筆跡もしくは繊細な線などで表現するものは、場の持つ空気やそこに宿る生命の力や感じ取った刹那の記憶である。さらに描かれる人物は作家自身の当事者の観点で捉えた幻想としての自画像といえる。完全なる第一人称的な風景でありまた自我の表出そのものだと言える。そして、提示された及川の創作に直面して、それらの生命力と及川の精神力の瑞々しい共存の息吹を感じ取ることは、鑑賞者自身の生き様を見つめ直すきっかけになりうるであろうか。

翻ってアクリル絵具でフラットに描く八太栄里の作品に登場する人物は、傍観者としての視点で描かれるものだ。描かれる風景を観察する自分でもあると同時にその場に気配のある他者の存在を描いている。その真意は作家の言葉を借りれば「その土地に行き交う人々が残した「残留思念」の象徴」を表現している。こちらでは自己認識の現れ方が、あくまでも、傍観者としての視点を持っ自我像という一回転したような面白い表現方法にみえる。
その着地地点は、マクロな視点をもった日本人の共通する遺伝子レベルな記憶、日本の街角の空気感を描き出すことに成功している。また、人間の生活の痕跡や命の営みの現在進行形の証がある。結果として、見るものの過去の回想と今の日常と未来への前途という時間軸での寧らかな感情を想起させるようだ。

使う絵具も描き方も観点も真逆であるがそれぞれの”自我”像のある風景。
その反転したような創作を対照されたときに生まれる化学変化の妙味を発揮できると考察した。それぞれのアーティストの結実を公開し、そこに2人展の意義を問いかけることで、果てしない創作の行きつく先の答えを追及し続けることを期待している。